鹿沼ゆかりの版画家 江田一夫回顧展
江田一夫《まつり》 2008(平成20)年頃、木版多色刷、紙
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展覧会概要
江田一夫(えだ かずお、1942-2020)氏は、鹿沼市下材木町出身の木版画です。
江田氏は、大工や木工製品の配達・修理、木枠を作る仕事を経て、2005(平成17)年頃から、市内の版画教室「ふるさと板画会」で木版画を学び始めました。
作品の大きなテーマは、青森県の伝統的な「ねぶた」行事です。
当初は「ねぶた」を画面に大きく描いていましたが、次第に余白を多く取ることで全体のバランスを意識するようになります。
また、技術の面では、「ねぶた」の毛髪や衣装に鋭い切れ味の彫刻刀を振るい、「ねぶた」が闇に浮かび上がるような赤、黄の暖色系の色使い、さらに光と影を強調するために板ぼかしを用いているのが特徴です。
こうした作品の素地には、下材木町で培われた伝統への意識があったのかもしれません。
同町は、江戸時代から受け継がれるきらびやかな彫刻屋台を融資、江田氏自身も「鹿沼今宮神社祭の屋台行事」に大きく関わっていました。
モチーフこそ違いますが、その色彩や光と闇の表現は、子どもの頃から親しんだ下材木町の彫刻屋台から多くを学んでいるようです。
江田氏のこうした作品は、日本板画院で評価され、2009(平成21)年には努力賞、2016(平成28)年にはアーチストスペース賞を受賞し、2014(平成26)年には院友に推薦されました。
晩年、江田氏は長く闘病生活をおくりますが、作品制作の情熱は冷めることなく創作を続け、2020(令和2)年9月に78歳で亡くなりました。
本展は、江田一夫氏の代表作14点を一堂に展示する回顧展です。その力強い作品をどうぞお楽しみください。
出品目録
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