栃木ゆかりの版画家 太田絵理 展
このたび当館では、栃木ゆかりの版画家として、太田絵理氏の作品をご紹介します。
太田氏は栃木県宇都宮市出身の版画家です。女子美術大学および同大学院で版画を学びました。
「社会が求める女性像」や「女性への固定概念」への疑問をもとに制作されてきた太田氏の作品では、女性の後ろ姿や髪の毛がモチーフとしてしばしば選ばれています。
それらを中心にして画面の中に形作られる、多様な解釈を惹起させる魅力的な世界は、リトグラフが得意とする緻密な描写によって支えられています。
本展は、太田氏の美術館における初個展です。17点の展示作品を通して、新進気鋭の作家である太田氏の世界を全国に先駆けて広く紹介するものです。
作家の言葉
〈社会が求める女性像〉や〈女性への固定概念〉への疑問を作品にしています。
本展では2017年から2025年までの作品を展示しております。近年まで大きなテーマは変わりませんが、作品の印象は異なるかと思います。自身が女性であるからこそ気になるトピックを大切にし、様々な視点で表現方法を探っています。
作品の中に多く登場する「髪の毛」は「感情をのせるツール」として用いています。
艶やかな女性の髪は美しいと思われる対象ですが、同じ髪の毛でも、排水溝にたまっていたら…? 料理の中に入っていたら…?時と場合によってさまざまな印象を与えることから作品の中では「感情」を表す役割として取り入れています。
近年は髪の毛から人物へとモチーフを変化させ、客観的な視点での作品制作を試みています。
リトグラフでの制作は、工程の多さから一見完成へ遠回りをしているようにも見えますが、私にとってプロセスの中で思考を整理し、作品とじっくり対話することができる大切な時間です。
今後も版表現を用い、版を重ねるように自分の考えを重ねながら制作してゆきたいです。
展覧会情報
会 期: | 令和7年4月12日(土)~6月22日(日) |
会 場: | 鹿沼市立川上澄生美術館 1階展示ホール |
開館時間: | 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで) |
休 館 日: | 月曜日(5/5、8/12は開館)、4/30(水) 、5/7(水) |
入 館 料: | 無料 |
出品目録
出品目録 (759KB) |